会計基準は、その会社の利益や損失や、
財務状況(資産や負債状況)を明らかにするためのものですが、
会社ごとにバラバラに記載すると、
他の会社との比較ができなくなるので、統一した会計基準が存在しています。
また会計上では、実は現金の出入りと、会計上の収益・費用には違いがあります。
ここではその会社の損益を把握するための損益計算書の作り方として、
「現金主義」と「発生主義」を見ていきます。
目次(複数ページに分かれた記事もあります)
会計の基礎知識 現金の出入りと損益にはズレが 現金主義について
冒頭にも書きましたが、企業の会計では、
現金の出入りと、会計上の収益・費用には違いがあります。
現金の出入りを会計上の収益・費用とする方法を「現金主義」と言いますが、
この現金主義は、企業会計では認められていません。
参考:損益計算書原則
「すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、
その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない。~後略」
ただ会計上ではなく、税務上の話になりますが、
個人事業者の場合には、小規模な事業者(注)が、
税務署に所定の手続きをした場合には、現金主義によって計算することが認められています。
(注)小規模事業者とは、その年の前々年の不動産所得、事業所得の金額の合計額が300万円以下の事業者を言います。
ただこの規定は、「所得税」での規定で、
個人事業者について認められたものですので、
法人税の計算では、収益の金額に関わらず、
次にご紹介する発生主義で計算する必要があります。
会計の基礎知識 現金の出入りと損益にはズレが 発生主義について
現金主義での会計は、小規模な個人事業者を除いて認められていませんので、
会社での会計では、発生主義での会計処理が必要になります。
発生主義では、実際の現金の出入りと収益・費用の計上の時期に違いがあります。
例えば、3月末の決算の会社では、
4月~3月が損益計算書の計算期間になりますが、
電気代やガス代など、3月分の費用は発生していても、支払いが4月となるものの場合には、
発生している3月に費用として処理することが求められます。
また固定資産が減価償却されますが、
例えば100万円の自動車を買ったとして、これを5年にわたって減価償却するとします。
(ここでは話を簡単にするために、毎年20万円の費用を計上することにします。)
現金支出の時に費用計上すると、支払ったタイミングで100万円の費用を計上できますが、
会計上はその方法が認められていません。
ですのでこの例では、自動車を5年間使えるものとして、
5年にわたって毎年20万円ずつ費用計上することが求められることになります。
このように会計上では、
現金を支払ったタイミングと費用を計上するタイミングが異なることになっています。
終わりに
会計の勉強をしていないと、
意外とこうした点は知らない方もいらっしゃると思います。
また損益計算書では、現金の増減が分からないために、
キャッシュフロー計算書という、
資金の増減を記載した財務諸表が作られることがあります。
決算書の意味を理解するために、会計の知識を学んでいただければと思います。