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注意すべき株式投資の信用取引 そのデメリットについて
信用取引は、手元資金より大きな金額で、株の売買ができますが、
その分、損失額も膨らむことがあります。
また普通に株を売買する場合と同じように、手数料が発生しますし、
この他にも以下のような費用があります。
信用取引の場合に、常に発生する金利と貸株料
これまで触れてきましたが、
信用取引の場合には、信用買いと信用売りがあります。
「信用買い」の場合には、担保を預けた上で、
「証券会社からお金を借りる」ことになりますので、
そのお金を借りている期間に対して、金利が発生することになります。
また「信用売り」の場合には、証券会社からお金を借りるわけではありませんが、
「証券会社から株を借りる」ことになりますので、
その株を借りている期間に対して「貸株(かしかぶ)料」という費用が発生します。
空売りで発生する逆日歩(ぎゃくひぶ)
(出典「photoAC」)
空売りは証券会社から株を借りて行いますが、
人気の高い株は、証券会社が貸し出せる株が不足することがあります。
株が不足すると、証券会社は株を他から借りることもできるのですが、
そのような形で証券会社が他から株を借りるための費用は、
空売りをする投資家が支払うことになっていて、
それを「逆日歩(ぎゃくひぶ)」または「品貸(しながし)料」と言います。
この逆日歩は、空売りをした場合には、突然発生する場合があります。
また先ほどご紹介しましたが、株主優待の取得のためなどで、
人気になっている株の場合には、
株が不足することで、この逆日歩の費用がかなり高額になるケースもあるようです。
信用取引で発生する追証(おいしょう)
また証券会社に担保として預けるお金や株は、
取引できる金額に対して、30%以上必要になりますが、
それよりも低い割合の「最低保証金維持率」が、取引金額に対して設定されています。
信用取引を行う場合には、担保の金額が、この最低保証金維持率を下回った場合には、
「追証(おいしょう)」という費用を追加で支払わなければならなくなります。
以下に図を示しますが、株を担保として預けている場合には、
その株が値下がりしてしまえば、担保としての価値が目減りしてしまいます。
また信用取引でお金を借りた上で、株を買った場合に損失を抱えると、
担保として預けたお金から、損失の穴埋めをされますので、
担保の金額が少なくなってしまいます。
そうした理由から担保が一定の割合を下回ることで、
追証が発生することになります。
注意すべき信用取引 その有効な活用法について
(出典「photoAC」)
信用取引では、手持ち資金以上の取引ができますし、
空売りもできますので、株価が下がっても利益を出すことも可能ではありますが、
逆日歩や追証が発生することもあり、そもそも手元資金以上の取引をしますので、
損をした時の痛手も大きくなってしまいます。
そうした意味では、ハイリスク・ハイリターンの取引ではありますし、
資金のほとんどをこうしたリスクの高い取引につぎ込む、という手法は避けるべきだと思います。
金融の進歩の一つに、リスクの分散がありますし、
こうした金融商品は、リスクをヘッジ(回避)する目的で本来は使われるべきのように思います。
つまり空売りを単独で行うのではなく、
現物の株を普通に買い、その株が値下がりするリスクを回避するために、
一部の資金で空売りを行う、という方法であれば、
利益が出た場合には利益が減ることになってしまいますが、
損失が出た場合にも損失を減らすことができます。
貯蓄から投資へと言われますが、
投資をする場合には、リスクの管理と分散に充分に注意をしていただければと思います。
終わりに
この信用取引だけを活用して利益を上げようとすると、大きな損失を抱えてしまうリスクがあります。
ただ信用取引も上手く活用すれば、リスクを分散することが可能ですし、
金融商品はむしろそうした方向で開発されてきたものだと私自身は認識しています。
最近では株だけでなく、FXをする方も増えていますが、
きちんとした知識を身につけた上でリスク管理を行いながら、資産を運用していただければと思います。