景気と一口に言われますが、景気とは何なのでしょうか?
景気の良し悪しはどうやって判断されるのでしょうか?
また景気が変動する要因は?
個人の実感と世の中で言われている景気の良し悪しには違いがある場合もあると思いますが、
ここでは景気について見ていきたいと思います。
目次(複数ページに分かれた記事もあります)
景気とは何か?景気が良い状態とは?
(出典「photoAC」)
景気の「気」は気分の「気」と言われますが、
例えば個人で景気が良いと感じる時と言えば、給料が上がれば景気が良いと実感しますし、
給料が増えなくても充分な給料をもらえ、消費を楽しめると景気の良さを実感すると思います。
また企業で考えれば、売上が伸び利益が上がりやすい状態で、
社会全体で景気が良く消費が伸びる傾向にあれば、先を見据えた設備投資も進めやすい状態になりますし、
国で考えれば、個人の収入が充分にあり消費も進む状態で、税収が上がることが景気が良い状態になります。
このように社会全体で経済が好調なら景気が良いと言われますし、反対に社会全体で経済が不調なら景気が悪いと言われます。
景気は社会全体での経済の調子を表しています。
また私たちはモノを買う時やサービスを受ける時、つまり消費する時にはお金を使った取引を行いますが、
給料が増える、充分な給料がもらえる、または消費を楽しめるといった景気が良い状態ですと、お金の流れも活発になりますので、
景気が良い状態はお金の流れが良い状態と言えます。
景気が悪い状態とは?
(出典「photoAC」)
逆に給料が下がる、リストラする企業が増える、仕事が見つからない、
などの状況になれば景気が悪いと感じると思いますし、
将来に不安があれば、それぞれの人が消費を手控えるようになりますし、
そのため企業も積極的に設備投資をしにくい状態になり、
最近では金利が低い状態が続いていますが、それでも銀行の融資が伸び悩むこともあります。
そういう場合にはお金が無いわけではなくても全体的にお金をあまり使いにくい状態になっていて、
お金の流れがそれぞれの場所に滞(とどこお)っている状態と言えますし、
景気が悪い状態は、お金の流れが悪い状態と言えます。
景気とは何か?景気はどのように判断する?
(出典「photoAC」)
景気をを判断するのに「景気動向指数」というものが使われますが、景気の良し悪しと時間的なズレのある指数もあり、
時間的なズレによって「先行指数」「一致指数」「遅行指数」に分けられています。
例えば株価の指数である「東証株価指数」は「先行指数」になりますが、
株価が上がって株で儲ける人がいれば、そうした人たちが消費を今後増やしていくことが考えられますので、
株価が上がってすぐに景気が良くなるわけではないとしても、
株価の上昇が続けば景気が良くなるかもしれない、と判断できることになります。
また「一致指数」の中には「商品販売額」や「大口電力消費量」などがあり、
こうした指数は景気の動向がその時期に、そのまま数字に反映されるものになります。
「遅行指数」の中には「法人税収入」や「完全失業率」などがあり、
法人税はある年の企業の利益から法人税が課されて翌年に納めることになりますので、
法人税収入は景気の動向からは遅れて出てくる数字になります。
またリーマンショックの時には派遣切りが行われましたが、
多少は景気が悪くなったからといっても、企業は教育した従業員をすぐに解雇するわけにはいきませんし、
景気が良くなったとしても仕事先を探す場合には、希望の仕事や条件面での折り合いなどもあり、
すぐに就職先が見つかるとは限りませんので、完全失業率も景気の動向からは遅れて出てくる指数になります。
また日銀が公表する「日銀短観」というものも景気の判断材料になります。
上場企業や中小企業に対して日銀が行うアンケートで、売上高などの数値と同時に、
企業の現状や先行きについて企業がどう感じているかを調査したもので、株価にも影響を与えると言われています。
ただ社会全体での好景気と言っても企業や地域、個人によって違いがあり、
例えば円安になれば輸出企業にはメリットがあっても、輸入して国内に販売するような輸入企業にとっては原材料費が高くなります。
全体として景気が良いとしても、内実はそれぞれの企業や地域、人によって違いがありますので、
全体としての景気判断と一人一人の景気の実感には違いが出てくると言えます。