経済のニュースを聞いていると、GDPなど専門用語が出てくると難しい印象を受けますが、
経済とはそもそも何なのでしょうか?
また国が経済政策を行うことがありますが、
国の経済と国家の関係はどのような関係があるのでしょうか?
ここでは経済とは何か?を見ていきたいと思います。
目次(複数ページに分かれた記事もあります)
経済とは何か?経済の意味は?語源は経世済民
(出典「photoAC」)
経済の語源は「経世済民(けいせいさいみん)」という古い中国の言葉が元になっていて、
この言葉自体は、「世を治め民を救う(救済する)」という意味で、意味としては現在では政治の方が近いのですが、
明治時代になって海外との交流が増えて「エコノミー」という言葉を訳す時に、
この「経世済民」から「経済」という言葉が使われるようになりました。
ただこの語源からでは「経済」が何か?ということはよく分からない印象があります。
それでは経済とは何か?と言えば、人間の活動のうちお金を介する活動の全てで、
私たちは働いてお金を稼いで、必要なもの、欲しいものをその時々で買いますが、
そんな私たちの身近なお金に関する日常生活の活動の全てが経済になります。
またお金を使う場合は消費になりますが、
お金を稼ぐには物を作ったり運んだり、またはサービスを提供することになりますが、
生産したモノやサービスをお金を介して取引をすることが「経済活動」になります。
ただお金を介する活動でないと経済活動とは呼びませんので、
ボランティアや主婦の方の家事などは、GDPなどの統計数字に含まれることはありませんが、
そうした活動は「経済活動」ではないとしても、「人間の活動」の中では重要な役割があると言えますし、
お金に換算できることだけが人間の全てではないことも確かなことだと思います。
経済とは何か?「見えざる手」~市場の自動調節機能
(出典「photoAC」)
また国が経済政策を行うことがありますが、経済は基本的には民間のものだと思います。
アダム・スミスの「見えざる手」という言葉は有名ですが、
市場が備えた自動調節機能について言及した言葉です。
例えばモノの値段は需要と供給の関係で決まることはご存知だと思いますが、
あるモノが売り出され、最初は高い値段で売れていても、
他の人たちがその市場に参入してきて多く生産されるようになると、そのモノの値段は安くなることになります。
それぞれの人が利己的な行動をしていても、それによってモノの値段が決まるように、市場には様々なことを自動的に調節する機能があるために、
アダム・スミスは必要以上に政府は介入すべきではないという考えの持ち主でした。
実際に以前の社会主義国家では、資本主義で自由な競争をしていると恐慌が起こるとして、
全てモノの生産は国が決める「計画経済」を実施していましたが、
デザイン性などがあまり考慮されなかったために多量の売れ残りが発生して、資源の無駄が発生したと言われています。
また全ての企業は国営企業で競争がなかったために生産技術が発展せず、技術的にも遅れを取ったことが指摘されています。
良い製品を作ったり、良いアイデアを生み出すのは政府の仕事ではありませんし、
また生産性を高めるために、効率の良い仕組みを作り上げることもそれぞれの個人や企業の果たすべき役割ですので、
こうしたことについては民間の努力で行うべきという意味では、経済は民間のものと言えます。
経済とは何か?その国の税収や軍事力と直結する経済
(出典「photoAC」)
ただ先ほど経済は民間のものと書きましたが、
アダム・スミスも政府は何もしなくても良いと言っていたわけではなく、
政府が行うべきこととして以下のことを挙げていました。
・国を守ること
・裁判所を備え司法行政を整えること
・道路などを造る公共事業を行うこと
また私たちは税金を納めていますが、所得や消費によって税金の額が決まりますし、
その国の経済は税収に直結してくる面があり、民間や市場の機能に任せていても問題が起こる場合があります。
民間や市場で問題が起こった場合には、国は新たに法律を作ることも必要になりますので、
基本的に経済は民間のものであっても、問題が起こった場合には政府の出番ということになります。
また税収で軍事費もまかなうことになりますので、その国の経済は軍事力に直結してくる面もあります。
現在では「力による国境の変更は認めない」という国際的な合意がありますが、
力による国境の変更を望む国が出てこないとは限りませんし、
その意味でも国が経済政策を行う必要が出てくる場合もあると思いますし、
経済が良くなるためには生産性や効率性も重要ですので、国も民間と同じように効率的な仕組みを整える必要もあります。
また政治家は選挙で選ばれますので、選挙のために政治家が経済政策を推し進める場合もあります。
ケインズ以降は赤字国債を発行して公共工事を行う、という手法が取り入れられるようになり、実際に効果はありましたが、
借金の返済という点については政治家が本腰を入れていなかったことで、
公共工事を行う時点では景気が良くなっても、国の借金が増え続けることになったことは今後に残された課題と言えます。
またアベノミクスも好調に見えますが、量的な金融緩和についてはいつまでも続けられる政策ではないと思いますので、
量的な金融緩和を終えた後にどうなるか?という点は不透明な点もありますし、
現在では社会保障費の増大という要因もあり、国の借金は1000兆円を超える規模になっていますので、
量的な金融緩和を終えた後に景気が悪くなった場合にも、
従来のように借金をして公共工事を行う、という手法にも限界が見えてきたと言えるように思います。
(ケインズの公共工事とアベノミクスの量的な金融緩和の問題点についてはこちらです。↓)
国が行う経済政策というものは一時的なものもありますし、
経済で人々を満足させている間に、別の政策を進めることも実は多く、
ヒトラーもアウトバーンというドイツの高速道路を造り、その際には人を雇うためにあまり機械を導入しなかったと言われています。
ヒトラーは優れた経済政策を取り入れていたこともあり、当時は人気も高かったのですが、
一方では共産主義者に対する弾圧やユダヤ人に対する差別、虐殺などを行ってきたことは広く知られています。
こうした例が過去にありますので、たとえ経済が上手くいっていたとしても、
政治家に対する監視を緩めるべきではないと言えるように思います。
終わりに
経済というとニュースでは、国がGDPという統計数字を出すこともありますし、
専門用語が飛び交うと難しく感じることがあるかもしれませんが、
経済は私たちの日々の生活の中で、お金を使った取引に関するもので身近なものになります。
また政治の世界でも経済政策が語られることがありますが、
民主主義という制度の中で、私たちは政治家についても充分に監視することも必要だと思いますので、
経済についても知っていただければと思います。
コメント
まとまりがあって見やすいです