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お金とは何か 経済規模に応じて適切な量が必要なもの
変化していく経済
(出典「photoAC」)
お金はその国の経済規模に応じて、適切な量が必要なものになります。
少し話が難しくなるかもしれませんが、
経済規模というものは、産業規模または人間の活動規模と考えると分かりやすいかもしれません。
ここでは経済規模が大きくなる場合を見ていきますが、
経済規模が大きくなる要因の一つ目としては、
「人口が増える」と、それだけ必要なモノも増えてきますので、
産業全体の仕事量や生産量は増えることになります。
二つ目には新たな技術が開発されると、これまで作られていたものが安い値段で手に入るようになり、
そのことで余力が生まれた人たちは、生活に必要なもの以外のモノを買ったり、
娯楽を楽しむようになったりすることで、経済が発達してきた面があり、
そうした過程で「新たな産業が増える」ことで、全体としての産業=経済が発達することになります。
お金の量が少なくなった場合
経済にはそうした変化がありますが、
例えば経済規模が大きくなっているのに、お金の量が変化せず一定のままの場合には、
お金を使いづらくなるなどの弊害が起きてきます。
例えば小さな世界を仮定して、
1万人の人口で、1億円のお金があるとします。
この状態であれば、単純に考えると全員が平均して、
1億円÷1万人=1万円が手に入ることになります。
徐々にその国に人が入ってくるなどして人口が増えていき、
例えば人口が10万人に増えたとします。
そうするとその世界では1億円しかありませんので、
一人当たり手にできるお金は、
1億円÷10万人=千円になってしまいます。
こうなるとお金を手に入れにくくなりますし、お金の価値が上がった状態でもありますが、
そのためにお金を持ちたいと考える人が増えると、さらにお金が流通しにくくなります。
「金は天下の回りもの」また「お金は血液のようなもの」と言われますが、
私たちの社会では仕事が細分化されて、社会は高度になっていますが、
そのために自分だけで生活に必要な、全てのモノをまかなうことはできません。
それぞれの仕事の中で、モノを作るなど人の役に立ち、価値を提供することを
「交換し合っている」のですが、その仲介をするお金が不足するなど、
お金が流通しにくくなると、交換が成立しにくい状態になってしまいます。
お金の量が多くなった場合
また反対に、1万人の世界でお金を増やして10億円にしたとすると、
一人当たり平均すれば、10億円÷1万人=10万円を手にすることになりますが、
それでは、ご存知のようにインフレになってしまいます。
モノの値段は、多くなれば価値が低くなり、
少なければ金やダイヤモンドのように価値は上がります。
お金は最初に書いたように、交換手段としてのモノですので、
同じように「お金をモノと考えた場合には」、
お金が増えると、お金の価値そのものが下がってしまいます。
お金は、商品やサービスの価値を測る「モノサシ」の役割を果たしますが、
お金の価値が下がるということは「そのモノサシが縮んだ」、
とイメージすると分かりやすいかもしれませんが、
お金が10倍に増えると、お金の価値は10分の1になります。
この状態で、これまでの世界で100円の価値のあるモノを買うとすると、
100円はこれまでの10円の価値しかありませんので、
100円(=実質10円)×10=1000円が必要になります。
こうして全体的に物価が上がるとインフレとなってしまいます。
インフレの問題は、収入が上がりにくい人たち、
例えば年金で生活している人には、一定の収入しかありませんが物価だけが上がるために、
生活が苦しくなるなど、不都合な面が多くあります。
そういう意味で、お金は経済規模に応じて適切な量が必要なものになりますが、
以前の金本位制や銀本位制のように、金や銀の裏付けで紙幣を発行し続けていると、
経済が発達して経済規模が大きくなった場合には、充分なお金を発行できなくなり、
経済の発展を阻害してしまいますので、
金や銀の裏付けとは関係なく、国の信用によってお金が発行されることになり現在に至っています。
そんな現在では、お金の裏付けとなるものは金や銀ではなく、
国がそこにお墨付きを与えているわけですが、
多くの人がお金をお金として信用していることで成り立っていますので、
お金は「共同幻想」とも言われています。